内容へスキップ

経営者の妻のための情報サイト つぐのわ

経営者の妻に役立つスキルアップ!おすすめの学び
実践を活かせるからこそ、学びに挑戦してみませんか?

一般社団法人 良家のご縁の会 代表理事
株式会社 しあわせ相談倶楽部 代表取締役 村田弘子

創業70年の会計事務所2代目嫁が、税理士の義父の後を継ぎ、医師・士業・経営者のご子息・令嬢のお見合をお世話する。2021年、「事業承継を結婚で解決する」婚活支援を全国に広めるため、良家のご縁の会を設立。
著書「事業承継結婚という家族戦略~経営者は子供をどう幸せにし、次世代につなげるか~」(ラーニングス株式会社)

筆者のご紹介

一般社団法人 良家のご縁の会 代表理事
株式会社 しあわせ相談倶楽部 代表取締役 村田弘子
福森 加苗さん

創業70年の会計事務所2代目嫁が、税理士の義父の後を継ぎ、医師・士業・経営者のご子息・令嬢のお見合をお世話する。2021年、「事業承継を結婚で解決する」婚活支援を全国に広めるため、良家のご縁の会を設立。
著書「事業承継結婚という家族戦略~経営者は子供をどう幸せにし、次世代につなげるか~」(ラーニングス株式会社)

経営者の妻には、会社と家族と自らの将来のために、役立つ学びやスキルアップしておくといいことが、たくさんあります。とはいえ、なにかと忙しい経営者妻の日常のなかで、「何を優先して学ぶとよいのか」「本当に役立つスキルは、何なのか」気になるところです。

この記事では、筆者が、家業を手伝い始めた時点から、法人を2社運営する現在までに、学んで役に立ったスキル、あまり役に立たなかったスキルをご紹介します。

振り返ると、学んだけれど資格取得には至っていないものも複数あります。しかしながら、資格を取らなくても、仕事上相当に役立っております。これこそ、経営者妻がスキルアップするメリットです。

画像:PIXTA

経営者妻がスキルアップをしていきたい3つの理由

  1. 学んだことをすぐに実践できる環境のため、夫や家族が、学びへの投資には、理解を得やすい。
    経営者ではない夫を持つ妻の場合、夫に「そんなもの学んでどうするんだ」と反対されてできないというケースもよく耳にします。
  2. スキルアップとして、専門分野をかじっておくことは、夫に万一のことが起きたときの命綱にもなります。
    頼れる大黒柱の夫に相談できなくなったとき、誰に相談すればいいのか、専門家選びひとつとっても、ある程度の知識がないと、いい先生を選ぶのは至難の業です。
  3. 夫の会社のために学んだことが、(筆者もそうですが、)後に自分のビジネスに役立てられることもあります。

こんな風に、経営者の妻は、サラリーマンの妻に比べ、スキルアップの学びがしやすく、投資効果の高い恵まれた環境にあります。ぜひ、忙しい中でもスキマ時間を見つけ、楽しみながらスキルアップにチャレンジしていきたいものです。

経営者の妻に必要とされるスキルとは?

筆者の場合、結婚当初、創業者の妻である義母の仕事を引き継ぐために、やってほしいと最初に言われたことは、下記のようなものでした。

  • 毎日の出納帳、総勘定元帳の記帳
  • 職員の入所、退職時の社会保険事務
  • 求人募集の手続き
  • お歳暮・お中元などの交際

つまり、メインは経理と社会保険労務となるので、まずは、経理のスキルから身に着けようと考えました。

入門編~経理事務に役立つスキル~

簿記3級

会社の規模によっては、妻が経理や総務を担当しているケースも多いです。
妻が会社の経理はじめ会社の仕事に関わることは、夫にもしものことがあったりするときに、全く関わらなかった時の何倍も、落ち着いた対応ができることでしょう。

もしも、経理をやってほしいという夫の希望があるのであれば、経理の経験がない場合も、簿記3級あたりから学びながら始められることをお勧めします。

筆者の場合、結婚式が終わると姑に呼ばれ、帳簿を任せたいと言われました。姑は当時、子ども3人を育てながら電話番から創業期の会計事務所を支え、経理はそろばんと手書きの出納帳で管理していました。

商売の経験がなかった当時の私は、毎日義母の隣で研修を受けるのですが、「貸方」「借方」という言葉が出てくるだけで、アレルギーを起こしていました。
100件の取引先とそのエリア区分を覚えるにもあたふたし、イライラしました。
それでも簿記のテキストを見ていると目が慣れてきて、この家族(集団)の中で「身内なのに自分だけがわかっていない」という孤独から解放された記憶があります。家業に嫁ぐ女性特有の孤独感かと、当時を振り返ります。

経営者の妻にとって「簿記」は、持っていたらラクになる一番最初のスキルと言えるでしょう。

画像:PhotoAC

FP3級・2級

FP3級は、短期間集中学習すれば取得も可能な、比較的取り組みやすい資格です。移動中の電車を使うなど気楽なスタンスで、基本的なお金のこと・年金のしくみ・税金・相続のことなどが大枠だけですが、理解できるようになります。

資格取得だけで、いきなり専門家としてクライアントの相談にあたることは難しいですが、少なくとも経営者の妻が、仕事をする上での基本用語は一通り網羅して把握することができます。お客様とお話するうえでのABCともいえるかもしれません。

すぐに資格を取れるという達成感も、メリットのひとつです。3級と2級は、内容がほぼ重複しますので、3級取得後、続けて2級を申し込むのがおすすめです。

社会保険労務士

実は結婚後すぐに、家族から税理士試験を受けるように勧められたのですが、さすがに自分にはそれは無理だと思い、なにか他の士業の国家資格が取れないか、本屋さんで参考書を見ていました。
義母が「社会保険事務もやってほしい」と話していたので、社会保険労務士も役立つかなと、安易に勉強を始めました。当時はなんでもいいから、自分も会計事務所の人間として、役に立ちたいという思いで必死でした。

しかし、教材を購入したものの、すぐにギブアップ。暗記する内容が全く頭に入りませんでした。社会保険労務の事務作業については、会計ソフトの労務管理が非常に使いやすくできていますし、多忙な経営者の妻がバックオフィスの作業のためだけに、それを原理原則から学ぶ必要はないとわかりました。

中級編~ファミリーの資産構築に役立つスキル~

画像:PhotoAC

宅建士

経営者の場合、マイホーム以外の不動産を持つことも多いです。不動産投資をしたり、自社ビルを持つこともあります。不動産業者とのやり取りが、会社員に比べて多くなる経営者の妻が宅建士の資格を持っていると、役に立ちます。誰でも受験できますが、合格後資格登録するときには、一定の条件があります(宅建業法第18条)。
宅建士の資格については、地主さんやお医者様の奥さまが結婚後に取得されたお話をよく聞きます。

宅建士が、経営者の妻のファミリーマネジメントになぜ役立つかというと、試験内容にある民法・不動産登記法・建物区分所有法・借地借家法、また不動産取得税・固定資産税・贈与税など税法の知識は、不動産の資産を持つ家族として重要だからです。宅建士の受験は、税法についても、税理士試験で学ぶよりも、ピンポイントで不動産売買に関する必要な知識としてインプットできるので、効率の良い学びができます。

相続税法

経営者の妻にとっての、最大の将来の不安要素は、大きく分けると2つに分類できます。

  1. 今は元気で活躍中の夫が、急に倒れて判断能力を欠く事態に陥ったときのこと、急に亡くなったときのことが不安。
  2. 事業と家の資産が、うまく次世代に継承できるかどうか。何を対策しておけるのかがわからない。本人は日々のことでいっぱいで、なかなか長期視点に立った事業承継・相続対策に気が回らない現状が不安。

本当はどちらの不安についても、夫が手はずを整えてくれればこれに越したことはないのですが、往々にして、忙しい経営者は後回しにしがちです。
そこで、資産と事業を円滑に次世代に継承できるよう、妻が相続の知識を持っておくことは、揉めないための「転ばぬ杖」となります。

巷には相続税セミナーなどいくらでもあるのですが、本当に揉める部分については大枠のことだけでは理解しづらく、もしも資産が多かったり、揉めそうな家族環境の場合には、税理士試験の相続税法だけでも、さらっと学んでみるのがお勧めです。身内と揉めそうな場合も、感情的にならずに、できること・できないことを判断することができます。なによりも、相続や贈与の話を夫とするときにも、役に立ちます。

成年後見制度 家族信託について

画像:PIXTA

また、夫が急に亡くなるのではなく、認知症になって契約行為を行えなくなると、会社が止まってしまいます。その時に困ることのないよう、経営者の妻は成年後見制度や家族信託についても、学んでおくと困らずに済みます。
成年後見制度は、経営者の妻の場合には、特に候補者として自分の名前を書いて提出しても、選出されない場合が多くなっています。

そうなると、どうなるのでしょうか。実は夫の預金その他の資産も、すべて後見人という他人が管理することを余儀なくされ、亡くなるまで夫の財産額がわからないという状況もでてきます。これは、極めて恐ろしいことです。
また、後見人が妻の生活費の額も決めることになるので、社長の奥さんの生活費がいきなり「月10万」と決められた、などの例もあると司法書士の先生からお聞きしたこともあります。

夫が認知症になったときには、夫が存命中のすべての生活費を、妻が立て替えないといけないということもあり得ます。何も対策を知らないと、その時に「こんなはずではなかった」ということになります。また夫だけでなく、親が介護施設に入居したことで、住む人のいなくなった実家を売却できず、問題となるということも起こります。

経営者の妻にとり、これからは相続税、贈与税の学びと同時に、司法書士試験の内容となる成年後見や家族信託の制度についても、注目して学びたいところです。
家族信託についてはまだまだ件数は多くないのですが、うまく利用することで、妻の生活を助ける対策を取ることができます。書籍などでも、これらの情報を取り入れるようにしていきたいです。

上級編~妻がWeb集客を担当するためのスキル~

入門編、中級編では、経営者の妻が、会社の仕事に関わり、家の資産管理も行うためのスキルアップをお伝えしました。
上級編では、妻がかじっておくと役に立つWeb発信のためのスキルについてお伝えします。

経営者の夫がみずから発信すればいいのですが、多くの場合、男性のほうが自己開示することにハードルを感じる方が多く、発信するということになかなか踏み出せない方も多いようです。
たとえば、SNS投稿やYouTube 配信なども、女性に比べ男性のほうが、見られ方を気にするあまり後回しにしがちのようです。Web発信の担当者不在の会社では、妻が夫に代わり、発信すると便利です。

動画編集

画像:PIXTA

動画編集ソフトで、撮った動画を簡単に動画投稿サイトに投稿することができます。また、夫の講演録画などの編集ができると、自社ホームページに掲載して、閲覧数を増やすこともできます。SNS投稿もですが、苦手意識を持たずに、習慣化して投稿していくことを妻ができると、そこから集客が広がります。

巷には、PCでさっと作業することができる便利なツールがあります*。仕事用で使うなら、スマートフォンよりも、PCで自分で編集することをお勧めします。外部業者に動画編集を委託すると、録画から公開までに時間がかります。自分でできればその辺りがタイムリーにできるので、経営者の妻が動画編集できることは、かなり優位になります。
動画編集スキルは、これからの経営者妻が、持っていたいスキルになっていくでしょう。*ちなみに筆者はFilmoraという画像編集ソフトを使っています。

メルマガ集客

新規顧客の集客に便利なメルマガやステップメールですが、やる価値はわかっても、日常の業務に追われる経営者が毎朝文章を書くのは、なかなか大変です。妻がWeb集客担当者としてメルマガ配信をできると、より時間効率の良い集客に貢献することができます。

動画編集もですが、ステップメールの構築などの作業は一度慣れてしまえば、後は上達するのみです。毎度業者に外注しなくても気楽にできて、売上増に役立つことができます。ライティングはすべてのスキルを超えて、一番大事です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
経営者の妻は学びが実践に活かせるので、そういう意味では常にスキルアップを試みることが可能な、恵まれた環境にあるといえます。夫をサポートしながら、いずれやってくる夫亡きあとのご自身の生活力まで見据え、学びを取り入れていきたいものです。

※本記事に記載の情報は2023年11月30日現在のものとなり、将来変更となる可能性があります。

この記事を閉じる