お店を続けるということは、父が生き続けるということ。
夫の事業を継げるのは「宝」
~突然の事業承継を経験した
妻たちのストーリー~
札幌・静岡で実施したグループインタビューのレポートをお届けします!今回は夫・ご家族の他界により突然社長になった、女性社長の皆さまにお話を伺い、多くの方にご協力を頂きました。その中から、一部のご様子とエピソードをご紹介します。
準備に終わりはない
元気だった先代社長の病が判明したのは突然でした。
先代が病と闘う中、会社を今後どうするか考えると、「どうしよう、どうしたらいいんだろう」と、ふと不安で。
病が判明してから亡くなるまである程度の時間があり、考えてはいたものの……”どん”と終わりがきた時に慌てるものです。
本当に亡くなってからじゃないと分からないことがたくさんあり、製品の事、取引先の事、土地の事……
知識もゼロの状態からスタートしましたから。いくら準備しても準備し切れるものではありませんでした。
会社と家族の間での葛藤
ある日、絵を描くのが上手な娘が、木の中でキツネが寂しそうにしている暗い色の絵を描いたんです。
今までパステルカラーの綺麗な絵を描く子だったのですが……。その時に思いました。
娘にも気にかけていたつもりだったんですが、私は目の前のことに一生懸命で。娘はどこかで傷ついていたんですね。
娘にもっと時間を割こうとしても、なかなか上手くはいきませんでした。
それから色々とコミュニケーションに関する勉強をしてみて、どうしたら娘が本当に気楽に私に話してくれるかを考えるようになりました。
夫の事業を継げるのは「宝」
事業承継してすぐは専門知識が少なく、分からない事は素直に「分からない」と言うのは許されると思います。
お客さんや取引先の方が親切に、喜んで教えてくれました。
信頼を失ってしまうのではないかと思ってしまいますが、分かった振りをすると、後で取り返しのつかない事になってしまいます。
こうやって周りの方に支えられているのも、先代社長や先代社長の父がこれまで築き上げたものがあるから。それは、夫や家族の事業を引き継いだ私たちの強みでもあります。
築き上げた信頼が残ったまま引き継げるっていうのは、事業承継した中でも、やはりそれは「宝」だと思います。
今、幸せです
高齢のご夫婦が旅行に向かう後ろ姿の広告なんかを見ると、「一緒に行くって言ったじゃん……」と思うこともありました。
確かに2人でいる時間はもうありませんが、今となれば自分の自由時間がたくさん増えたと思いますね。時が経つとそういう気持ちになるんです。
昔は自分の時間が欲しくても、子供の世話、学校の事など、自分の時間ってほとんどありませんでした。
今は子供も独立し、休みは自分の時間を楽しめます。幸い今は病気もなく、楽しめるようになったので、やっぱり時がそうしてくれるんだと思います。
今は自分の好きなことをどんどんやっています。こんなこと言っちゃいけないかもしれませんが、幸せです。
※本記事に記載の情報は2021年9月30日現在のものとなり、将来変更となる可能性があります。